ビジネスを運営する上で、資金繰りは常に頭を悩ませる課題の一つです。特に、商品やサービスを提供している企業にとって、売掛金の回収までに時間がかかることは大きな負担となります。そんな中で、急な資金調達が可能になる手段の一つが「ファクタリング」です。
ファクタリングは、売掛金を早期に現金化するための有効な方法として、多くの企業に利用されています。しかし、その仕組みや利点、注意点について詳しく理解している企業は少ないのが現実です。本コラムでは、ファクタリングの基本的な仕組みから、利用する際のメリット・デメリットまでを解説し、どのようにビジネスに役立つかを探っていきます。
1. ファクタリングとは
ファクタリングとは、企業が持つ「売掛金」をファクタリング会社が買い取ることで、資金を速やかに得ることができるサービスです。売掛金とは、取引先への商品やサービス提供後、支払日がまだ来ていない未収の売上金のことです。ファクタリングを利用すれば、資金回収を待たずにすぐに資金を手にすることができ、キャッシュフローの改善が可能です。
ファクタリングには主に「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」があり、それぞれ資金が流れる構図が異なります。
■2社間ファクタリング
2社間ファクタリングでは、ファクタリング利用者(売掛金を売る企業)とファクタリング会社の間で直接取引が行われます。この場合、売掛金先(取引先)はファクタリングに関与しません。
<取引の流れ>
商品・サービスの提供
ファクタリング利用者(企業)は商品やサービスを売り、売掛金を発生させます。
ファクタリング契約の締結
ファクタリング利用者は、売掛金をファクタリング会社に譲渡する契約を結びます。売掛金先(取引先)は契約に直接関与しません。
ファクタリング会社から資金の受け取り
ファクタリング会社は売掛金額の一部をファクタリング利用者に前払いします。この資金は、ファクタリング利用者のキャッシュフロー改善に役立ちます。
売掛金の回収
売掛金先(取引先)は、ファクタリング利用者に対して売掛金の支払いを行います。ファクタリング利用者がその後、売掛金を回収する責任を負うため、ファクタリング会社は回収業務に関与しません。
残金の支払い
売掛金先(取引先)から全額が支払われると、ファクタリング会社は残りの金額(売掛金額のうち前払いされた額を差し引いた残り)をファクタリング利用者に支払います。この際に手数料を抜いた額を支払います。
売掛金は、利用者に支払われてしまうためファクタリング会社からすると利用者の持ち逃げリスクが高くなります。そのため、2社間ファクタリングの手数料は3者間よりも高めに設定されているのが一般的です。
■3者間ファクタリング
3社間ファクタリング:ファクタリング会社と利用者に加え、売掛先企業(取引先)が加わり、直接ファクタリング会社に支払われる形で取引が進みます。
商品・サービスの提供
ファクタリング利用者(売掛金を持つ企業)は商品やサービスを提供し、売掛金が発生します。例えば、企業Aが企業B(取引先)に商品を納品し、企業Bに対して支払期限のある売掛金が発生します。
ファクタリング契約の締結
ファクタリング利用者は、発生した売掛金をファクタリング会社に売却する契約を結びます。この際、売掛金先(取引先)もファクタリング契約に同意します。売掛金先(取引先)は、売掛金がファクタリング会社に譲渡されたことを承認し、ファクタリング会社に対して支払いを行う義務を負います。
ファクタリング会社から前払いの受け取り
ファクタリング会社は、売掛金額の一定割合をファクタリング利用者に前払いします。前払い金を受け取った後、ファクタリング利用者はその資金を事業運営に活用することができます。
売掛金の回収
ファクタリング会社は、売掛金先(取引先)に対して直接請求を行います。売掛金先(取引先)は、ファクタリング会社からの請求を受けて、指定された支払い先(ファクタリング会社)に売掛金を支払います。
残金の支払い
売掛金先(取引先)が全額をファクタリング会社に支払うと、ファクタリング会社は残りの金額(売掛金額から前払い分を差し引いた額)をファクタリング利用者に支払います。残額からは、ファクタリング会社の手数料が差し引かれることがあります。
この2社間、3者間ファクタリング取引がファクタリング取引の大半となります。
2. ファクタリングの流れ
ファクタリングの基本的な流れは以下の通りです。
事前相談:まず、ファクタリング会社に相談を行います。3社間ファクタリングの場合は、事前相談後に売掛先企業にファクタリング利用の承諾を得る必要があります。
申し込み:サービスを利用するために申し込みを行います。
書類提出:必要書類を揃えて提出します。
審査:ファクタリング会社が、利用者と売掛先の信用状況や支払い能力を審査します。
契約:審査が通ったら契約を利用者とファクタリング会社間で結びます。※3者間の場合は、売掛先も関わります。
3. ファクタリングの必要書類
ファクタリングを利用する際に一般的に必要とされる書類は、ファクタリング会社によって若干異なる場合がありますが、以下のような書類が一般的に求められます。
1. 法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
会社が法人であることを証明するための書類です。事業者の法人登記情報(会社名、設立日、代表者など)が記載されています。
2. 決算書(直近2期分)
企業の財務状況を確認するために必要です。通常、直近の2期分の決算書(損益計算書、貸借対照表など)が求められます。これにより、企業の信用力や返済能力を評価します。
3. 売掛金明細書
売掛金を譲渡する場合、その詳細を示す明細書が必要です。売掛金明細書には、売掛先(取引先)、請求金額、支払期限、発生した取引内容などが記載されます。
4. 請求書のコピー
売掛金が発生した証拠として、過去の請求書のコピーが求められることがあります。請求書には、取引先情報や商品・サービスの詳細、支払期日などが記載されています。
5. 取引先(売掛金先)の承諾書(任意)
一部のファクタリング会社では、取引先(売掛金先)の承諾書を求める場合があります。これにより、取引先が売掛金の譲渡を承認し、支払いをファクタリング会社に行うことを確認します。
3社間ファクタリングの場合は、必須となることが多いですが、2社間ファクタリングでは必須ではないことが多いです。
6. 代表者の身分証明書
企業の代表者が本人であることを確認するため、運転免許証やパスポートなどの身分証明書が必要になることがあります。
7. 銀行口座情報
資金の受け取り先となる銀行口座情報(銀行名、支店名、口座番号など)が必要です。通常、売掛金が前払いされた後にこの口座に振込まれます。
8. 契約書のコピー(必要に応じて)
一部のファクタリング会社では、取引先との契約書のコピーを求めることもあります。特に、取引先が長期的に契約している顧客である場合や、大きな取引額がある場合などに提出が求められることがあります。
9. 税務署への申告書類(任意)
一部のファクタリング会社では、税務署への申告書類(例えば、法人税の申告書)を求めることがあります。これは、企業の税務状態や納税履歴を確認するためです。
4. ファクタリングにかかる時間や費用
2社間ファクタリング
入金時間:即日入金が可能:
2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社が売掛金を譲渡された際に、ほとんどの場合即日または翌営業日には前払い金が入金されます。取引のスピードが非常に早く、売掛金の一部(通常80〜90%)が迅速に資金として提供されます。
手数料(費用)
手数料: 通常、手数料は売掛金額の7〜20%程度が一般的です。ただし、ファクタリングの利用条件や売掛金額、企業の信用度などによって手数料率は異なる場合があります。
例えば、短期間のファクタリング利用(売掛金回収期間が短い場合)は、手数料が低くなることが多いです。
売掛金の回収期間が長期であったり、リスクが高い場合は手数料が高くなることもあります。
その他の費用
事務手数料や振込手数料が発生する場合もありますが、これらは通常、取引の規模やファクタリング会社のポリシーによって異なります。
3者間ファクタリング
入金時間:入金までに時間がかかる場合がある
3者間ファクタリングでは、売掛金先(取引先)も関与するため、ファクタリング会社が売掛金先に対して直接請求を行います。通常、売掛金先が支払いを行うまでの期間(支払期限や取引先の支払い遅延など)によって、入金に数日〜数週間かかることがあります。
それでも、売掛金先の支払いスケジュールが確定していれば、1週間以内の入金が一般的です。
手数料(費用)
手数料: 3者間ファクタリングの手数料は、2社間ファクタリングよりも安くなることが多いです。手数料は売掛金額の1〜9%程度になることが一般的です。
その他の費用
事務手数料や振込手数料は、2社間ファクタリングと同様に発生する可能性があります。
売掛金先の承諾書が必要な場合、その手続きに関する費用や手数料が発生する場合もあります。
5. ファクタリングが「やばい」と言われる理由は?違法なのか
Q:ファクタリングは違法なのか?
A.ファクタリング自体は違法ではなく、適法な資金調達手段として利用されています。しかし、一般には「やばい」とされる面もあり、その理由として次の点が挙げられます。
Q:ファクタリングが「やばい」と言われるのはなぜか?
A.免許・登録が不要:ファクタリング業は、金融業のように免許や登録が必要ありません。
規制する法律がない:ファクタリング業界を規制する明確な法律がなく、悪徳業者も存在しやすいです。
依存のリスク:短期間での資金調達が可能なため、資金繰りに困る企業が依存しやすく、健全な経営が難しくなる可能性があります。
6. ファクタリングのメリット・デメリット
ファクタリングのメリット
資金調達がしやすい:自社の業績に関わらず、売掛金を使って資金を調達できます。
短期間で資金を得られる:即日で資金が入ることもあり、急な資金需要にも対応可能です。
売掛先企業の倒産リスクを回避できる:万が一、売掛先企業が倒産した場合でも、倒産リスクはファクタリング会社が負います。
ファクタリングのデメリット
手数料がかかる:通常の借入に比べると手数料が高めです。
売掛先の業績次第で資金調達ができないことがある:ファクタリングの審査は売掛先の信用も影響するため、場合によっては利用が難しいこともあります。
7. おすすめのファクタリング業者
次に、代表的なファクタリング業者とそれぞれの特徴を表にまとめます。以下の業者について、審査スピード、入金スピード、手数料、契約方法、申し込み資格、利用限度額などの情報を掲載しています。
ビートレーディング
日本中小企業金融サポート機構
PayToday
OLTA
ペイトナーファクタリング
ラボル
トップマネージメント
QuQuMo
アクセルファクター
ウィット
8. まとめ
ファクタリングは、企業が保有する売掛金を使って資金を迅速に確保できる有効な手段です。しかし、手数料や依存のリスクなどのデメリットもあり、適切な業者の選択や計画的な利用が求められます。
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